業務棚卸のやり方と、棚卸表に何を書くか

はじめて棚卸をする方に向けて、書く項目と手順だけを並べました。当社が85の業種でこの表を作ってきた中で、実際に手が止まった所も書いています。読むだけで進められます。登録は要りません。

業務棚卸とは、いま社内で誰が何をどれだけやっているかを、1件ずつ書き出して一覧にすることです。目的は一覧を作ることではなく、そのあとに「無くす・減らす・任せる」を決める材料にすることです。書く項目は6つ、手順は5つで足ります。

業務棚卸とは(最初の1行で答える)

業務棚卸とは、いま社内で誰が何をどれだけやっているかを、1件ずつ書き出して一覧にすることです。棚卸という言葉は在庫の数を数えるほうで馴染みがありますが、こちらは物ではなく仕事そのものを数えます。

数えるだけでは意味がありません。業務効率化は、棚卸で『どこに時間が溜まっているか』が見えてから始まります。棚卸のあとに来るのは「この仕事は無くせるか」「減らせるか」「誰か(何か)に任せられるか」の3つの問いです。この3つを決めるために足りるだけの項目を書く。逆に言えば、決めるのに使わない項目は書かなくてよい、ということです。

だから、はじめから完璧な分類表を作ろうとしないでください。分類は、書き出したあとで付きます。

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棚卸表に書く6つの項目

空の表を前にして手が止まるのは、たいてい「何の列を作るか」で迷うからです。次の6つで足ります。

1. 業務名
動詞で書きます。「請求」ではなく「請求書を作って送る」。名詞で書くと、あとで無くせるかどうかの判断ができません。
2. 担当
役職ではなく、実際にやっている人。1つの仕事を2人でやっているなら2行に分けず、1行に2人と書きます。
3. 頻度
日に何回/週に何回/月に何回/年に何回。「随時」と書きたくなったら、直近1か月で何回あったかを数えて入れます。
4. 1回あたりの時間
分で書きます。記憶ではなく、1週間だけ実際に測った値を入れてください。ここが記憶だと、あとの順位が全部ずれます。
5. 使う道具・書類
どこから来て、どこへ行くか。「基幹システムからCSVを出して、Excelに貼って、メールで送る」のように、途中の道具も全部書きます。任せられるかどうかは、ほぼここで決まります。
6. 困っていること
1行でかまいません。空欄にすると、あとで優先順位が付けられなくなります。「特に無い」も情報なので、そう書きます。

月あたりの時間は「頻度 × 1回あたりの時間」で出るので、列にしません。列を増やすほど埋まらなくなります。

逆に、5つに削ると「使う道具・書類」が落ちがちです。これが落ちると、任せられるかどうかが判断できない表になります。

業務棚卸のやり方(5つの手順)

手順1 区切りを決める
部署で切らず、仕事の流れで切ります。「受注から入金まで」のように。部署で切ると、部署と部署のあいだで落ちている仕事が見えません。実際、手間はそこに溜まっていることが多いです。
手順2 1週間、手を止めずに書き出す
分類も整理もせず、思いついた順に書きます。並べ替えは機械でもできますが、思い出すのは人にしかできません。ここで分類を始めると、必ず途中で止まります。
手順3 重複と言い換えをまとめる
同じ仕事が別の名前で2回出てきます。ここで初めて、まとめます。まとめた元の言い方も残しておくと、あとで人に説明するときに効きます。
手順4 頻度と時間を入れる
手順2・3で出た行に、頻度と時間を入れます。全部を測る必要はありません。上位20行だけ実測して、残りは概算でかまいません。
手順5 3つの箱に分ける
「無くす」「減らす」「任せる」の3つに分けます。どれにも入らない行は、いまは触らない行です。それも決めたことなので、印を付けて残します。

ここまでで棚卸は終わりです。表を作ることが目的ではないので、3つの箱に入った時点で次へ進みます。

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よくある失敗と、その避け方

分類から始めてしまう
分類の枠を先に作ると、枠に入らない仕事が書かれません。書き出しが先、分類はあとです。
部署の単位で切ってしまう
部署のあいだで落ちている仕事が見えなくなります。仕事の流れで切ってください。
時間を記憶で書いてしまう
記憶と実測は倍ちがうことがあります。上位だけでよいので、1週間だけ測ってください。
一度で完成させようとする
完成しません。まず粗く1周させて、そのあと厚くします。
「困っていること」を空欄にする
あとで優先順位が付けられなくなります。困っていないなら、そう書きます。
棚卸そのものが目的になる
表がきれいになっても、何も減りません。3つの箱に入れるまでが棚卸です。

業種によって、書く中身は変わる

ここが、空欄のフォーマットを配っても埋まらない理由です。

当社は「AI業務棚卸」という無料の画面を出しています。85の業種ごとに仕事の工程を並べ、どの作業を機械に任せたいかを選んでいただく画面です。そこで実際に選ばれた作業をのべ470回ぶん数えました(期間 2026-07-20〜2026-08-24、記録のあった日は23日、検査用の8行は除外)。

結果は2つに割れました。上位3つは、名前こそ違うがどれも「2つ以上の書類を見比べて、食い違いを見つける」作業でした。ところが、選ばれた作業そのものは133種類に散りました

つまり、手間が集まる場所は業種をまたいで似ているのに、具体の作業名は業種ごとに違うということです。だから「業務名」の欄は、白紙から書くより、その業種で実際に出てくる作業が並んでいるほうが早く埋まります。

この数字で言えないことも書いておきます。母数は来訪105件・23日ぶんと小さく、業界全体の傾向ではありません。「選んだ」であって「やった」ではありません。選択肢は当社が用意した言葉で、お客様がご自身の言葉で言われたものではありません。

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棚卸のあと、何をするか

3つの箱には順番があります。無くす → 減らす → 任せるの順です。任せる前に無くせないかを見る、という順番を飛ばすと、要らない仕事を上手に自動化することになります。

「任せる」の中で、機械に任せられるかどうかの見分け方は1つだけです。同じものを入れたら、いつも同じ答えが出るか。出るなら機械に載ります。人の判断が要るなら、判断の手前まで(材料をそろえるところまで)が機械の分担です。

そして、いきなり全件を機械に載せないでください。まず1件で測ってから広げます。1件で通らないものは、100件でも通りません。

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よくあるご質問

業務の洗い出しのフォーマットは?

6列で足ります。業務名(動詞で書く)・担当・頻度・1回あたりの時間・使う道具や書類・困っていることの6つです。月あたりの時間は頻度×時間で出るので列にしません。列を増やすほど埋まらなくなります。

業務棚卸のやり方は?

5つの手順です。①仕事の流れで区切りを決める ②1週間、分類せずに書き出す ③重複と言い換えをまとめる ④頻度と時間を入れる(上位だけ実測) ⑤「無くす・減らす・任せる」の3つの箱に分ける。3つの箱に入った時点で棚卸は終わりです。

Excelで棚卸しをするには?

1シートに6列の表を作り、1行1業務で書きます。並べ替えと絞り込みができれば十分で、関数は要りません。なお当社は空欄のExcelを配っていません。業種によって「業務名」に入る中身が変わるからです(当社の実測では、選ばれた作業は133種類に散りました)。代わりに、85業種ぶんの記入済みの棚卸表をその場で画面に出せるようにしています。

棚卸の手順書は?

この面の「業務棚卸のやり方(5つの手順)」がそのまま手順書です。印刷して配るより、実際の業務名が並んだ状態から始めたほうが早く終わります。ご自身の業種を選ぶと、その仕事の工程と作業名が並んだ状態から棚卸を始められます。

ご自身の業種で、棚卸表を出してみる

AI業務棚卸(無料・登録は要りません) 85の業種から1つ選ぶと、その仕事の工程と作業名が並びます。棚卸表の「業務名」を白紙から書かずに始められます。 AI売上棚卸(無料・登録は要りません) 「なぜ売上が伸びないのか」を、やってきたことに印を付けながら見ていきます。売り方の全体像も1枚で出します。

監修:大川行成(ブレインコミュニティ合同会社 代表/元・富士通総研 BPRコンサルタント)

業務改善とAIの側から、八十五の業種の仕事の形を分析しています。資格が要る手続きそのものの判断や助言をするものではありません。 → この人について

この記事は当社の型に沿って機械が組み、大川行成が八十五本すべてを確認しています。