
図面を受け取ってから、鉄を切るまでに何日もかかります。
鉄工所・製缶では、これがふつうです。
動きが遅いのではありません。
溶接は、いちど付けたら外せないからです。
今回は、その確かめの長さがどこから来ているのかを分解します。
付ける順番を間違えると、あとから直せないからです。
組み立ての順番は、図面には書かれていません。
先に付けると、次の部材を入れる隙間が無くなることがあります。
無くなってから気づけば、切って外すことになります。
切って外せば、その部材は使えません。
だから、鉄を切る前に順番を決めきります。
六つの工程に分かれます。
一つ目、問い合わせ・依頼受付。
二つ目、見積・受注。
三つ目、設計・材料手配・工程計画。
四つ目、製造・加工。
五つ目、品質検査・納品。
六つ目、請求・経理。
手間が生まれるのは、三つ目と四つ目です。
三つ目の設計・材料手配・工程計画で、付ける順番が決まります。
四つ目の製造・加工で、その順番どおりに組みます。
今回は、三つ目を分解します。
誰がどの溶接をできるかまで、先に合わせておく必要があるからです。
溶接のやり方は、部材と厚みで決まっています。
そのやり方には、決められた資格が要ります。
資格を持っている人は、その日ほかの現場にいることがあります。
いなければ、その工程は動きません。
だから、材料を手配する前に人の予定まで見ます。
使う寸法が、組み立ての順番で変わるからです。
同じ形でも、どこで継ぐかで切る長さが変わります。
継ぐ場所は、組み立ての順番で決まります。
順番が決まる前に切ると、足りないか余ります。
足りなければ、そこで待ちます。
余った鉄は、次に同じ寸法が来るまで置いておくことになります。
図面の上では合っていても、現物では合わないことがあるからです。
鉄は、溶接の熱で少し動きます。
動く量は、板の厚みと順番で変わります。
計算はできますが、現物と完全には一致しません。
だから、本付けの前に仮で止めて確かめます。
確かめる工程は、そのぶん時間として乗ります。
使った材料の証明が、材料ごとに別々の紙だからです。
鋼材には、それぞれ材質を示す紙が付いてきます。
一つの製品に、何種類もの材料が入ります。
納品のときは、その全部を揃えて出します。
紙は、仕入れた時期ごとに分かれています。
どの材料をどこに使ったかを、あとからたどることになります。
前の段取りが、その注文の書類の中にしか無いからです。
三年前に、よく似た形を組みました。
そのときの順番も、押さえ方も、記録には残っています。
残っているのは、その注文の一式の中です。
似ていることは、注文の番号からは分かりません。
分からないので、また一から順番を考えます。
四つとも、同じ一つの製品のことです。
それでも、決まる時期も置き場も揃っていません。
揃っていないので、鉄を切る前の突き合わせが長くなります。
六つの工程ごとの一覧は、AI業務棚卸のページに置いてあります。
この記事では「そもそも、なぜその手間が生まれるのか」だけを書きました。
「AIを使って何ができるか」は、下のページに全部並んでいます。
鉄工所・製缶の六つの工程と、できること一覧
Q1.なぜ、この確かめは鉄工所・製缶でだけ長いのですか?
やり直しの費用が、材料の値段そのものだからです。
紙なら書き直せます。切って溶接した鉄は、元に戻せません。間違えた分は、材料ごと失われます。
Q2.なぜ、図面どおりに作れば済むというわけにいかないのですか?
図面には、組み立ての順番が書かれていないからです。
完成した形は図面にあります。どの順で付ければその形になるかは、現場で決めることになっています。
Q3.なぜ、資格を持つ人に仕事が集まるのですか?
その工程を、他の人が代われないからです。
決められた溶接は、決められた資格の人しかできません。人を増やしても、その工程の速さは変わりません。
Q4.なぜ、一品ごとの注文が続くと苦しくなるのですか?
段取りを決める作業が、注文の数だけ起きるからです。
同じ物を続けて作るなら、順番は一度決めれば済みます。毎回違う形なら、毎回決め直します。
Q5.何から始めればよいですか?
まず一件、鉄を切るまでにかかった日数を数えることからです。
切る前の日数と、切ってからの日数の比が出ます。多くは、切る前のほうが長くなります。
鉄工所・製缶の期間は、加工の速さだけでは決まりません。
付ける前に確かめる時間で決まります。
溶接は、いちど付けたら外せません。
外せないので、順番を決めきってからでないと始められません。
外せるようにはできないので、順番の決め方を変えるしかありません。
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鉄工所・製缶の六つの工程が、そのまま並んでいます。
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