
監修:大川行成(ブレインコミュニティ合同会社 代表/元・富士通総研 BPRコンサルタント)
業務改善とAIの側から、コールセンターの仕事の形を分析しています。資格が要る手続きそのものの判断や助言をするものではありません。 → この人について
この記事は当社の型に沿って機械が組み、大川行成が八十五本すべてを確認しています。
「少々お待ちください」と申し上げてから、二分。
その二分で、探しています。
コールセンターでは、これがくり返されます。
答えを覚えていないからではありません。
答えを持っている人が、電話を受けている人ではないからです。
今回は、その隔たりがどこから来ているのかを分解します。
答えのもとが、作った側や契約した側の手元にあるからです。
商品の細かい仕様は、作った部署が持っています。
契約の例外は、営業の担当者が知っています。
受けているのは、そのどちらでもない人です。
渡されているのは、まとめられた手引きです。
手引きに無いことは、その場で探すことになります。
六つの工程に分かれます。
一つ目、応対設計とFAQの準備。
二つ目、受付・初期対応。
三つ目、情報探し・段取り。
四つ目、顧客対応(本業)。
五つ目、記録・事後対応。
六つ目、報告・事務。
手間が生まれるのは、二つ目と三つ目と四つ目です。
二つ目の受付・初期対応で、何を訊かれているかを見極めます。
三つ目の情報探し・段取りで、その答えを探します。
四つ目の顧客対応で、探した答えをお伝えします。
今回は、三つ目を分解します。
探す先が、質問ごとに変わるからです。
よくある質問なら、手引きに載っています。
載っていない質問は、毎日いくつも来ます。
商品の話なら、商品の資料です。
契約の話なら、契約の記録です。
どちらを見るかは、聞き終わってから決まります。
厚くなるほど、目的の一行にたどり着くのが遅くなるからです。
載っている項目は増えます。
増えた分、探す範囲も広がります。
どの見出しの下にあるかは、書いた人の分け方によります。
受けている人の探し方と、その分け方が同じとはかぎりません。
合わなければ、目次を上から順に見ることになります。
どこを見たかで、答えが変わるからです。
手引きに古い記載が残っていることがあります。
部署から来た連絡には、新しい扱いが書いてあります。
どちらも手元にあります。
新しいほうを見た人と、古いほうを見た人で答えが割れます。
割れたことに気づくのは、お客様からご指摘をいただいたときです。
相手が、電話を受ける仕事をしていないからです。
確かめたい先は、別の仕事をしています。
すぐには出られません。
折り返しになれば、お客様には一度お切りいただきます。
かけ直すまでの間、その件は止まります。
止まっている件が増えると、あとの応対にも重なります。
記録が、お客様ごとに並んでいるからです。
対応の履歴は、そのお客様の欄に残ります。
似た質問をされた別のお客様の欄は、別の場所です。
同じ質問が何件来たかは、並べ替えないと出ません。
並べ替える人は、日々の応対には入っていません。
だから、同じ質問を何人もが別々に探しています。
四つとも、同じ一件のお問い合わせのことです。
それでも、置き場も更新の速さも揃っていません。
揃っていないので、探す先を決めるところから毎回始まります。
六つの工程ごとの一覧は、AI業務棚卸のページに置いてあります。
この記事では「そもそも、なぜその手間が生まれるのか」だけを書きました。
「AIを使って何ができるか」は、下のページに全部並んでいます。
コールセンターの六つの工程と、できること一覧
いま月額で払っている道具を、自社のしくみに置き換える
お客様や取引先からお預かりした情報が、どこで外へ広がるのかは、コールセンターで、預かった情報が外へ広がる理由で説明しています。
六つの工程それぞれに、人がやっている作業があります。
問い合わせ傾向の分析
よくある質問(FAQ)の作成・更新
新しいサービスや製品情報の学習資料準備
オペレーターの対応品質基準づくり
問い合わせ内容の聞き取りと記録
顧客情報と過去対応履歴の確認
問い合わせ内容の初期分類
問い合わせ内容から必要な情報の抽出
問い合わせ内容に合った資料・マニュアル探し
顧客への案内文や回答の下書き準備
複雑な問い合わせのエスカレーション先判断
関連部署への連携に必要な情報の整理
顧客の質問への最適な回答案提示
顧客の感情や言葉の意図の分析
会話中の重要キーワードの抽出と要約
顧客への製品・サービス提案の下書き作成
会話内容の要約と対応履歴の記録
アフターフォローが必要な顧客の洗い出し
顧客満足度アンケート結果の集計と分析
クレーム対応後の状況確認リマインダー
日次・週次・月次報告書の下書き作成
オペレーターの対応実績の集計とレポート化
サービス改善点の洗い出しと提案
請求関連の問い合わせ内容の整理
Q1.なぜ、この隔たりはコールセンターでだけ起きるのですか?
答える役だけを、切り出して置いているからです。
作った人が直接答える形なら、探す時間はほとんど要りません。窓口を分けたぶん、答えとの距離ができます。
Q2.なぜ、経験を積めば済むというわけにいかないのですか?
商品も契約も、増え続けるからです。
覚えた分だけ速くなりますが、覚える対象も毎月増えます。追いつく速さで人が育つとはかぎりません。
Q3.なぜ、人の入れ替わりが応対の質に響くのですか?
探し方が、その人の中に貯まっているからです。
どこを見れば早いかは、書かれていません。辞められると、その探し方も一緒に無くなります。
Q4.なぜ、同じ質問が何度も来るのですか?
分かりにくい部分が、そのまま残っているからです。
何件来たかを数えていなければ、どこが分かりにくいかも分かりません。分からなければ、直す先も決まりません。
Q5.何から始めればよいですか?
まず一日、保留にした時間を件ごとに計ることからです。
長い件がどの種類かが分かります。その種類が、探す先の決まっていない質問です。
コールセンターの応対の長さは、話す速さでは決まりません。
答えを探す時間で決まります。
答えを持っているのは、電話を受けている人ではありません。
だから、保留の時間は経験だけでは短くなりません。
役を分ける形を変えられないなら、答えの置き方を変えるしかありません。
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コールセンターの六つの工程が、そのまま並んでいます。
手間がかかっている工程をクリックしてください。
その工程で使えるAIと、いまかかっている時間から、一年でどれだけ手間が減るかが、その場で出ます。
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