
患者さんの話をよく聞いた日ほど、カルテが夜まで残る。
クリニック・診療所では、これが毎日起きています。
どちらも手を抜けない仕事です。
それでも、両方は同じ一人の時間から出ています。
今回は、その取り合いがどこで起きているのかを分解します。
話した内容を、書ける形に直せるのが本人だけだからです。
患者さんが話すのは、症状と生活と不安です。
カルテに要るのは、経過と所見と判断です。
この二つは、言葉の並びが違います。
違うので、聞きながら頭の中で組み替えることになります。
組み替えている間は、相手の顔を見ていられません。
六つの工程に分かれます。
一つ目、準備・計画。
二つ目、受付・登録。
三つ目、診察準備・手配。
四つ目、診察・治療。
五つ目、会計・事後対応。
六つ目、レセプトと院内事務。
手が足りなくなるのは、二つ目と四つ目です。
二つ目の受付・登録で、同じことを何度も聞き取ります。
四つ目の診察・治療で、診ることと書くことが時間を取り合います。
今回は、四つ目を分解します。
診る時間と書く時間が、同じ一つの枠を分け合っているからです。
診察の枠は、あらかじめ決まっています。
その中で、話を聞き、見て、判断し、記録まで済ませます。
話を長く聞けば、記録は後ろへ送られます。
記録を先に済ませれば、話す時間が短くなります。
どちらかを削るしかない形になっているのが、いまの並びです。
話しながら打つと、どちらも中途半端になるからです。
画面を見ていると、患者さんは話しにくくなります。
顔を見ていると、あとで思い出しながら打つことになります。
思い出す作業は、その日の最後にまとめて来ます。
疲れた時間に来るので、書ける量も減ります。
話した内容から下書きが出てくれば、残るのは直すところだけです。
書かれた紙が、診察室の画面につながっていないからです。
受付で書いてもらった紙は、受付の手元にあります。
診察室に届くころには、要点を拾い直す時間はありません。
だから、同じことをもう一度お尋ねします。
患者さんから見れば、二度手間です。
紙の内容が先に画面へ入っていれば、聞くのは足りない部分だけになります。
誤りが見つかるのが、締めたあとだからです。
病名と処置の食い違いは、診察の場では気づきません。
気づくのは、月が変わって並べたときです。
並べて、探して、直して、また並べます。
この作業は、正しくやっても新しい価値は生まれません。
診察のたびに食い違いが出れば、月初の山は低くなります。
順番の付け方が、その人の判断で回っているからです。
予約と飛び込みと、待たせてよい人とよくない人。
その見分けは、どこにも書いてありません。
書いていないので、引き継ぐには横について覚えるしかありません。
過去の待ち時間と診察時間が残っていれば、材料は紙の側に出てきます。
人に残るのは、目の前の一人をどう扱うかの判断です。
六つの工程ごとの一覧は、業種ページに置いてあります。
この記事では「なぜそうなるのか」だけを書きました。
「どの作業をAIに任せられるか」は、下のページに全部並んでいます。
クリニック・診療所の六つの工程と、できること一覧
AIを実行から外す。ここが線です。
クリニックでいえば、話した内容から下書きを作るところが機械、その方をどう診るかが人です。
人がやること。どこを機械に任せるかを決めて、出てきた結果を確認する。
AIがやること。読み取り、下準備、下書き。そして処理の型を一度だけ作る。
機械がやること。計算、突き合わせ、写し、繰り返し。
AIは百件なら正確です。一万件になると壊れます。
だから、型はAIに作らせ、実行は機械に渡します。
Q1.なぜクリニックでAIの活用が必要なのですか?
診る時間と書く時間が、同じ枠を取り合っているからです。
どちらも削れません。削らずに済ませるには、書くほうを人の手から外すしかありません。
Q2.なぜ、カルテの入力が夜まで残るのですか?
診察中に打つと、患者さんが話しにくくなるからです。
顔を見ることを選ぶと、記録は思い出しながら後で書くことになります。疲れた時間に来るので、書ける量も減ります。
Q3.なぜ、AIに診断を任せてはいけないのですか?
診断の責任を負うのが医師だからです。
記録の下書きや点検は機械が担えます。しかし、何と判断するかは医師の仕事です。実行は機械に、判断は人に残します。
Q4.なぜ、職員が少ない院ほど効くのですか?
受付も会計もレセプトも同じ人が抱えていると、止まる場所が一つで済まないからです。
誰がやっても同じ結果になる作業から先に渡すと、抱えている人の手が空きます。
Q5.何から始めればよいですか?
まず一週間、診察が終わってからカルテを閉じるまでの時間を測ることからです。
その時間が分かれば、短くする値打ちがあるかどうかも分かります。
クリニックで時間が足りないのは、患者さんが多いからだけではありません。
診る時間と書く時間が、同じ一つの枠を分け合っているからです。
だから、どちらかを丁寧にすると、もう一方が後ろへ動きます。
書くほうは、いま診察・治療の工程で機械に渡せます。
渡したぶん、患者さんの顔を見ていられます。
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