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なぜ、クリニックの記録は手作業のままなのですか?

監修:大川行成(ブレインコミュニティ合同会社 代表/元・富士通総研 BPRコンサルタント)

業務改善とAIの側から、クリニック・診療所の仕事の形を分析しています。資格が要る手続きそのものの判断や助言をするものではありません。 → この人について

この記事は当社の型に沿って機械が組み、大川行成が八十五本すべてを確認しています。

なぜクリニックは、診察を丁寧にすると記録が遅れるのか?両方が同じ一人の時間から出ている仕組み

患者さんの話をよく聞いた日ほど、カルテが夜まで残る。

クリニック・診療所では、これが毎日起きています。

どちらも手を抜けない仕事です。

それでも、両方は同じ一人の時間から出ています。

今回は、その取り合いがどこで起きているのかを分解します。

なぜ、クリニックの記録は手作業のままなのですか?

話した内容を、書ける形に直せるのが本人だけだからです。

患者さんが話すのは、症状と生活と不安です。

カルテに要るのは、経過と所見と判断です。

この二つは、言葉の並びが違います。

違うので、聞きながら頭の中で組み替えることになります。

組み替えている間は、相手の顔を見ていられません。

クリニック・診療所の仕事は、どんな流れでできていますか?

六つの工程に分かれます。

クリニック・診療所の六つの工程 1 準備・計画 2 ★手間が集まる 受付・登録 3 診察準備・手配 4 ★手間が集まる 診察・治療 5 会計・事後対応 6 レセプトと院内事 務
図1 クリニック・診療所の六つの工程と、手間が集まる工程

一つ目、準備・計画。

二つ目、受付・登録。

三つ目、診察準備・手配。

四つ目、診察・治療。

五つ目、会計・事後対応。

六つ目、レセプトと院内事務。

手が足りなくなるのは、二つ目と四つ目です。

二つ目の受付・登録で、同じことを何度も聞き取ります。

四つ目の診察・治療で、診ることと書くことが時間を取り合います。

今回は、四つ目を分解します。

なぜ「診察・治療」の時間は、いつも足りないのですか?

診る時間と書く時間が、同じ一つの枠を分け合っているからです。

診察の枠は、あらかじめ決まっています。

その中で、話を聞き、見て、判断し、記録まで済ませます。

話を長く聞けば、記録は後ろへ送られます。

記録を先に済ませれば、話す時間が短くなります。

どちらかを削るしかない形になっているのが、いまの並びです。

1.なぜ、カルテの入力が診察のあとまで残るのですか?

話しながら打つと、どちらも中途半端になるからです。

画面を見ていると、患者さんは話しにくくなります。

顔を見ていると、あとで思い出しながら打つことになります。

思い出す作業は、その日の最後にまとめて来ます。

疲れた時間に来るので、書ける量も減ります。

話した内容から下書きが出てくれば、残るのは直すところだけです。

2.なぜ、問診票の内容をもう一度口で聞くことになるのですか?

書かれた紙が、診察室の画面につながっていないからです。

受付で書いてもらった紙は、受付の手元にあります。

診察室に届くころには、要点を拾い直す時間はありません。

だから、同じことをもう一度お尋ねします。

患者さんから見れば、二度手間です。

紙の内容が先に画面へ入っていれば、聞くのは足りない部分だけになります。

3.なぜ、レセプトの点検が月初に集中するのですか?

誤りが見つかるのが、締めたあとだからです。

病名と処置の食い違いは、診察の場では気づきません。

気づくのは、月が変わって並べたときです。

並べて、探して、直して、また並べます。

この作業は、正しくやっても新しい価値は生まれません。

診察のたびに食い違いが出れば、月初の山は低くなります。

4.なぜ、受付の人が辞めると院全体が止まるのですか?

順番の付け方が、その人の判断で回っているからです。

予約と飛び込みと、待たせてよい人とよくない人。

その見分けは、どこにも書いてありません。

書いていないので、引き継ぐには横について覚えるしかありません。

過去の待ち時間と診察時間が残っていれば、材料は紙の側に出てきます。

人に残るのは、目の前の一人をどう扱うかの判断です。

診る時間と書く時間が、同じ一つの枠を分け合っている 患者さんの話 医師の判断 カルテの記録 同じ一人が、同じ枠の中でやる どちらかを丁寧にすると、もう一方が後ろへ動く
図2 診る時間と書く時間が、同じ一つの枠を分け合っている

診察の枠は、あらかじめ決まっています。

その中で、聞いて、見て、判断して、記録まで済ませます。

足し算にはならないので、必ずどちらかが削られます。

できることの一覧は、どこにありますか?

六つの工程ごとの一覧は、業種ページに置いてあります。

この記事では「なぜそうなるのか」だけを書きました。

「どの作業をAIに任せられるか」は、下のページに全部並んでいます。

クリニック・診療所の六つの工程と、できること一覧

https://braincommunity.jp/tanaoroshi/site/clinic.html

いま月額で払っている道具を、自社のしくみに置き換える

https://braincommunity.jp/okikae/

お客様や取引先からお預かりした情報が、どこで外へ広がるのかは、クリニック・診療所で、預かった情報が外へ広がる理由で説明しています。

クリニック・診療所の六つの工程と、手間が生まれる場所

六つの工程それぞれに、人がやっている作業があります。

1. 準備・計画

許認可の申請書類作成

求人票作成、面接日程調整

ホームページやチラシの企画

医療機器・備品の選定と発注

2. 受付・登録 ※この記事で取り上げた工程

予約受付:電話やWebからの予約対応

問診票記入:患者さんへの説明、記載内容の確認

保険証確認:保険証情報の入力、有効期限のチェック

初診時の患者情報登録

3. 診察準備・手配

診察準備:患者さんの呼び出し、案内

検査手配:検査依頼書の作成

薬の準備:処方箋の作成、薬のピッキング

電子カルテへの情報入力

4. 診察・治療 ※この記事で取り上げた工程

診察記録:医師の所見や指示の記録

治療計画:患者さんへの説明、同意書の取得

処置記録:実施した処置内容の記録

次回の予約案内

5. 会計・事後対応

会計処理:診療費の計算、窓口での支払い対応

次回の予約:患者さんの希望に合わせた予約調整

紹介状作成:他院への紹介状の下書き作成

患者さんからの問い合わせ対応

6. レセプトと院内事務

レセプト作成:診療報酬明細書のデータ入力、チェック

経費精算:領収書の整理、会計ソフトへの入力

スタッフ勤怠管理:出退勤記録の集計

経営状況の月次報告書の作成

よくあるご質問

Q1.なぜ、この取り合いはクリニックでだけ起きるのですか?

話を聞くことと、記録を残すことが、どちらも診察の一部だからです。

受け付けだけの窓口なら、聞く人と書く人を分けられます。診察は分けられません。

Q2.なぜ、カルテの入力が夜まで残るのですか?

診察中に打つと、患者さんが話しにくくなるからです。

顔を見ることを選ぶと、記録は思い出しながら後で書くことになります。疲れた時間に来るので、書ける量も減ります。

Q3.なぜ、気をつけていても防げないのですか?

枠の長さが決まっているからです。

手早く書いても、聞く時間が増えれば書く時間は減ります。注意ではなく、枠の割り振りの問題です。

Q4.なぜ、職員が少ない院ほど効くのですか?

受付も会計もレセプトも同じ人が抱えていると、止まる場所が一つで済まないからです。

誰がやっても同じ結果になる作業から先に渡すと、抱えている人の手が空きます。

Q5.何から始めればよいですか?

まず一週間、診察が終わってからカルテを閉じるまでの時間を測ることからです。

その時間が分かれば、短くする値打ちがあるかどうかも分かります。

まとめ

クリニックで時間が足りないのは、患者さんが多いからだけではありません。

診る時間と書く時間が、同じ一つの枠を分け合っているからです。

だから、どちらかを丁寧にすると、もう一方が後ろへ動きます。

書くほうは、いま診察・治療の工程で機械に渡せます。

渡したぶん、患者さんの顔を見ていられます。

まず、何から始めればよいですか?

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