
一つの物件が決まるまでに、同じ内容を何度書いているか。
不動産・売買仲介・賃貸管理では、これを数えたことがある人は多くありません。
書き写すたびに、間違える機会が一回ずつ増えます。
間違えると重要事項説明の訂正になるので、誰もが慎重になります。
今回は、その慎重さがどこから来ているのかを分解します。
同じ物件のことを、行き先ごとに別の形で書き直しているからです。
登記の内容。物件の広告。重要事項説明書。契約書。社内の台帳。
元になっている事実は一つです。
それでも、行き先ごとに項目名も並び順も違います。
だから、そのままでは移せず、人が読み替えて書き写します。
読み替えるところに、間違いが入ります。
六つの工程に分かれます。
一つ目、仕入れ・物件さがし。
二つ目、客付け・契約。
三つ目、物件調査・段取り。
四つ目、仲介・引渡・管理。
五つ目、更新・アフター対応。
六つ目、仲介手数料の請求と精算。
手が止まるのは、二つ目と三つ目です。
二つ目の客付け・契約で、書き写しが集中します。
三つ目の物件調査・段取りで、その内容を人が一つずつ確かめ直します。
今回は、三つ目を分解します。
何を確かめるかが決まっていても、どこにあるかが毎回違うからです。
役所で取る物。法務局で取る物。管理会社に聞く物。売主から預かる物。
確かめる項目は、物件が変わってもほとんど同じです。
しかし、置き場所は物件ごとに違います。
だから毎回、探すところからやり直します。
探す時間は読めないので、調査の時間も読めません。
元の資料から人が読み替えて書き写しているからです。
登記の記載と、広告の記載と、説明書の記載。三つとも書き方が違います。
違う書き方へ移すので、機械的に写すことができません。
一文字違えば、後から訂正の連絡になります。
だから何度も読み返し、そのぶん時間がかかります。
元の資料から項目ごとに移せる形なら、読み返す回数は減ります。
前の図面を開いて、直して使い回しているからです。
所在を変え、間取りを差し替え、条件を書き換える。
毎回、同じ順番を人がなぞっています。
手順が毎回同じなら、それは人がやる仕事ではありません。
物件の台帳がそろっていれば、下書きは出てきます。
人に残るのは、どう見せるかを決めるところだけです。
問い合わせた人は、同時に何社にも聞いているからです。
先に返事が来た会社で、話が進みます。
遅れた理由が「物件の情報を探していた」でも、相手には関係ありません。
探す時間が返事の速さを決めているのが、いまの形です。
物件の情報が一か所にそろっていれば、返事は探す前に出せます。
残るのは、その物件を勧めるかどうかの判断です。
期日が来たかどうかを、人が台帳を見て気づいているからです。
契約ごとに期日は違います。だから一覧では見えません。
見えないので、担当が覚えているか、月に一度まとめて確かめます。
確かめる作業は、正しくやっても新しい価値は生まれません。
期日が近い契約だけが出てくれば、確かめる作業は消えます。
人に残るのは、その方へ何をお伝えするかです。
六つの工程ごとの一覧は、業種ページに置いてあります。
この記事では「なぜそうなるのか」だけを書きました。
「どの作業をAIに任せられるか」は、下のページに全部並んでいます。
不動産・売買仲介・賃貸管理の六つの工程と、できること一覧
AIを実行から外す。ここが線です。
不動産でいえば、資料から項目を移すところが機械、その物件をお客様に勧めるかどうかが人です。
人がやること。どこを機械に任せるかを決めて、出てきた結果を確認する。
AIがやること。読み取り、下準備、下書き。そして処理の型を一度だけ作る。
機械がやること。計算、突き合わせ、写し、繰り返し。
AIは百件なら正確です。一万件になると壊れます。
だから、型はAIに作らせ、実行は機械に渡します。
Q1.なぜ不動産でAIの活用が必要なのですか?
同じ内容を書き写す回数が、そのまま間違いの機会になっているからです。
書き写しは人がやっても価値が増えません。それでも間違えると訂正になるので、時間だけがかかります。
Q2.なぜ、物件の情報は一か所にまとまらないのですか?
取ってくる先が、役所も法務局も管理会社も別々だからです。
別々であること自体は変えられません。変えられるのは、取ってきた後に一か所へ集めるかどうかです。
Q3.なぜ、AIに重要事項説明書を任せきりにしてはいけないのですか?
説明する責任を負うのが人だからです。
下書きは機械が作れます。しかし、その内容で説明すると決めるのは宅地建物取引士の仕事です。実行は機械に、判断は人に残します。
Q4.なぜ、人数が少ない会社ほど効くのですか?
一人が案内も調査も契約も抱えていると、書き写しが夜に回るからです。
回した分だけ返事が遅れ、遅れた分だけ他社で決まります。
Q5.何から始めればよいですか?
まず一件、同じ内容を何回書いたかを数えることからです。
回数が分かれば、その回数を減らす値打ちがあるかどうかも分かります。
不動産の契約が遅いのは、確認を丁寧にしているからではありません。
同じ事実を、行き先ごとに人が読み替えて書き写しているからです。
読み替えるところに間違いが入るので、何度も読み返します。
元の資料から項目ごとに移す形なら、読み返す回数は減ります。
減ったぶん、お客様への返事が早くなります。
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