
今日は何をどれだけ仕入れるか。
飲食店では、この判断が毎日あります。
そして毎日、去年も一昨年も同じやり方で決めています。
数字を見ていないのではありません。数字が出るのが遅いのです。
今回は、その遅れがどこから来ているのかを分解します。
判断は毎日なのに、記録がまとまるのは月に一度だからです。
仕入れの判断は、朝、店の中で決まります。
納品書はレジ横に積まれ、月末に会計へ回ります。
売上の内訳が出るのは、そのあとです。
出たころには、その食材はもう店にありません。
だから翌月も、同じ朝に同じ勘で決めることになります。
六つの工程に分かれます。
一つ目、メニューと開店の準備。
二つ目、予約と集客。
三つ目、仕入れと仕込みの段取り。
四つ目、営業中の接客と調理。
五つ目、ご来店後の対応と片付け。
六つ目、売上・経費と給与の計算。
手が止まるのは、三つ目と六つ目です。
三つ目の仕入れと仕込みの段取りで、毎日の判断が起きます。
六つ目の売上・経費と給与の計算で、その判断の結果が出ます。
今回は、六つ目を分解します。
営業中は、手も目も客席に向いているからです。
レジの数字、納品書、シフトの実績。三つが別々に増えていきます。
そろえるには、三つを並べて見る時間が要ります。
その時間は、開店から閉店まで一度も生まれません。
だから閉店後か、月末にまとめて開きます。
まとめて開くので、どの日のどの判断が効いたのかは分かりません。
捨てた事実が、数字として残っていないからです。
残った物は、その日の閉店作業で処分されます。
処分は日常なので、いちいち書き留めません。
書いていないので、月末の数字には「減った」としか出ません。
何を仕入れすぎたのかは、そこからは読めません。
捨てた物が品目ごとに残れば、翌週の発注が変わります。
希望と、必要な人数と、去年の忙しさを、頭の中で重ねているからです。
紙に出ているのは希望だけです。
必要な人数は、その日の予約と天気と過去の入りから考えます。
考えるのは店長で、考えた根拠はどこにも残りません。
だから翌週も、同じ重ね合わせを最初からやり直します。
過去の入りが日付ごとに残っていれば、下書きは出てきます。
仕入れ値の変化が、一枚ずつの納品書に散っているからです。
一品目が少し上がっても、その納品書だけでは分かりません。
分かるのは、同じ品目を何週間か並べたときです。
並べる作業は、日々の営業の中では起きません。
だから、気づくのは決算の数字を見たときになります。
品目ごとに並ぶ形なら、上がった週に気づけます。
受ける人と、仕込む人が同じだからです。
電話が鳴れば、包丁を置いて出ます。
出て、席の空きを台帳で探し、書き込んで、戻ります。
戻ったときには、手順の途中が抜けています。
受ける作業は、正しくやっても新しい価値は生まれません。
人に残るのは、その予約をどうお迎えするかです。
六つの工程ごとの一覧は、業種ページに置いてあります。
この記事では「なぜそうなるのか」だけを書きました。
「どの作業をAIに任せられるか」は、下のページに全部並んでいます。
飲食の六つの工程と、できること一覧
AIを実行から外す。ここが線です。
飲食でいえば、納品書とレジの突き合わせが機械、明日の仕入れをどうするかが人です。
人がやること。どこを機械に任せるかを決めて、出てきた結果を確認する。
AIがやること。読み取り、下準備、下書き。そして処理の型を一度だけ作る。
機械がやること。計算、突き合わせ、写し、繰り返し。
AIは百件なら正確です。一万件になると壊れます。
だから、型はAIに作らせ、実行は機械に渡します。
Q1.なぜ飲食店でAIの活用が必要なのですか?
毎日する判断に、数字が間に合っていないからです。
判断は毎日、記録は月に一度。この差がある限り、仕入れは勘のままになります。差を縮めるのが先です。
Q2.なぜ、食材のロスは数字にならないのですか?
捨てる作業が閉店後の日常で、記録の対象になっていないからです。
月末の数字には「減った」としか出ません。何を仕入れすぎたのかは、そこからは読めません。
Q3.なぜ、AIにメニューまで決めさせてはいけないのですか?
その店で何を出すかは、味と客層の話だからです。
売れた組み合わせは機械が出せます。しかし、出すと決めるのは料理をする人の仕事です。実行は機械に、判断は人に残します。
Q4.なぜ、席数が少ない店ほど効くのですか?
調理も接客も発注も同じ人がやっていると、数字を見る時間が最後まで残らないからです。
残らないので、翌日も同じ勘に戻ります。突き合わせを渡せば、その時間が生まれます。
Q5.何から始めればよいですか?
まず一週間、捨てた物を品目ごとに書き出すことからです。
書き出せば、仕入れすぎている品目が分かります。それが分かれば、直す値打ちも分かります。
飲食店の仕入れが勘のままなのは、勘に頼りたいからではありません。
判断は毎日なのに、数字が出るのは月に一度だからです。
出たころには、その食材はもう店にありません。
突き合わせは、いま売上・経費と給与の計算の工程で機械に渡せます。
渡したぶん、翌日の仕入れが数字の上に乗ります。
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