
点数は上がったのに、どこが伸びたのか説明できない。
学習塾・予備校では、これがよく起きます。
面談の準備に時間がかかるのは、生徒の数が多いからだけではありません。
点数を見ても、つまずいた場所が書かれていないからです。
今回は、その見えなさがどこから来ているのかを分解します。
残っているのが結果の数字だけで、途中の跡が残らないからです。
答案には、丸と罰と点数が残ります。
どこで手が迷ったかは、残りません。
計算を間違えたのか、問題の意味を取り違えたのかも、点数は区別しません。
区別するには、答案を一枚ずつ見て、書いた跡から読み取ります。
読み取った中身は、点数の欄には入りません。
六つの工程に分かれます。
一つ目、カリキュラムと講師体制の準備。
二つ目、体験授業から入塾まで。
三つ目、学習計画と授業の準備。
四つ目、授業と成績のフォロー。
五つ目、進路の記録と退塾対応。
六つ目、授業料の請求と入金確認。
手間が生まれるのは、四つ目と六つ目です。
四つ目の授業と成績のフォローで、生徒一人ずつを見る時間が要ります。
六つ目の授業料の請求と入金確認で、月ごとの照らし合わせが一度に来ます。
今回は、四つ目を分解します。
つまずいた場所が、点数には書かれていないからです。
点数は、できたかできなかったかの合計です。
どの手前でつまずいたかは、合計には入りません。
同じ六十点でも、つまずいた場所は生徒ごとに違います。
違いを見るには、答案と、授業中の様子を重ねます。
重ねる作業は、生徒の人数ぶんだけ最初から起きます。
その生徒の話が、いくつもの場所に分かれて置いてあるからです。
点数は、テストの記録にあります。
出欠と授業中の様子は、担当した講師の手元です。
宿題の出し方は、また別の紙です。
保護者に話すには、三つを一人ぶんに束ね直します。
束ね直すのは面談の前なので、生徒の数だけ前の週が埋まります。
去年の見取りが、去年の生徒のものとして仕舞われるからです。
この単元でつまずく生徒は、毎年似た場所でつまずきます。
去年その場所を見つけた講師は、覚えています。
覚えているのは、その講師だけです。
塾として残っているのは、去年の点数の記録です。
だから、今年もまた一人ずつ探すところから始まります。
見取りの手がかりが、その場のやりとりにしかないからです。
解いている手つき、聞き返し方、迷った時間。
どれも、その場にいた人だけが受け取ります。
受け取った中身を書き残す欄は、決まっていません。
書き残さなければ、次の講師には渡りません。
同じ生徒でも、担当が替わると見立てが変わります。
見取りの時間が、生徒の数にまっすぐ比例するからです。
授業は、まとめて何人にでもできます。
答案を読むのは、一枚ずつです。
面談も、一人ずつです。
教える側は増やせても、見る側の時間は分けられません。
だから、人数が増えた分だけ一人あたりが短くなります。
四つとも、同じ一人の生徒のことです。
それでも、置き場も残り方も揃っていません。
揃っていないので、重ねるのは毎回人の頭の中になります。
六つの工程ごとの一覧は、AI業務棚卸のページに置いてあります。
この記事では「そもそも、なぜその手間が生まれるのか」だけを書きました。
「AIを使って何ができるか」は、下のページに全部並んでいます。
学習塾・予備校の六つの工程と、できること一覧
Q1.なぜ、この見えなさは学習塾・予備校でだけ起きるのですか?
売っているものが、結果ではなく途中だからです。
品物を渡す仕事なら、渡した物が残ります。塾が渡しているのは分かるようになる過程で、過程は形に残りません。
Q2.なぜ、点数を細かく記録すれば済むというわけにいかないのですか?
点数をいくら細かくしても、つまずいた場所は出てこないからです。
設問ごとに分けても、分かるのは「できなかった」までです。なぜできなかったかは、答案の書き跡にしかありません。
Q3.なぜ、成績が上がっている生徒でも手間が減らないのですか?
上がった理由も、点数には書かれていないからです。
上がったことは分かります。何が効いたかが分からなければ、次に何を続けるかも決められません。
Q4.なぜ、講師の入れ替わりが起きると重くなるのですか?
見取りが、講師の中にしか残っていないからです。
担当が替わると、その生徒のことを一から見立て直すことになります。生徒の側は、同じ説明をもう一度受けます。
Q5.何から始めればよいですか?
まず一人、面談の準備にかかった時間を計ることからです。
準備の時間と授業の時間を並べると、見取りにどれだけ使っているかが自分の塾の数字で分かります。
塾の手間は、生徒の人数だけでは決まりません。
つまずいた場所が点数に残らないことで決まります。
残らないので、毎回一人ずつ読み取ることになります。
読み取った中身は、読み取った講師のところで止まります。
点数の取り方を変えられないなら、読み取った中身の残し方を変えるしかありません。
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