
一日じゅう何事もなかった。それが良い一日です。
ところが、良い一日ほど書くことが残ります。
警備の仕事では、これが毎日続きます。
うまくいったという結果が、書かないかぎり形にならないからです。
今回は、その残らなさがどこから来ているのかを分解します。
出来上がる物ではなく、起きなかったことを示す仕事だからです。
物を作る仕事なら、作った物が残ります。
運ぶ仕事なら、届いた先に物があります。
警備は、何も起きないようにする仕事です。
終わったあとの現場は、始まる前と同じ姿です。
だから、やったことは書いた紙にしか残りません。
六つの工程に分かれます。
一つ目、計画・準備。
二つ目、依頼・契約。
三つ目、段取り・手配。
四つ目、警備・監視。
五つ目、報告・対応。
六つ目、勤務集計と請求。
手間が生まれるのは、四つ目と五つ目です。
四つ目の警備・監視で、書き残すもとになる時間が過ぎます。
五つ目の報告・対応で、その時間を紙の形に直します。
今回は、四つ目を分解します。
異常が無かったことも、記録しないと無かったことになるからです。
異常があった日は、その出来事を書きます。
異常が無かった日も、無かったことを書きます。
書かなければ、その時間に人がいた証しが残りません。
証しが残らなければ、契約どおりに警備したことを示せません。
だから、何も起きない日ほど、書く量は減りません。
歩いた事実が、歩いた場所には残らないからです。
決められた道を、決められた時刻に回ります。
回ったあとの通路は、回る前と同じです。
回ったことを示すのは、その場で押した印か、書いた時刻です。
書くのは歩きながらなので、あとで清書します。
清書は、歩いた時間とは別に必要になります。
何も起きていない時間も、見ないと起きていないと言えないからです。
映像は、一日ぶん途切れずに残ります。
そのうち、見るべき場面はごく一部です。
どこが一部なのかは、見るまで分かりません。
早送りしても、目は全部の時間を通ります。
台数が増えれば、通る時間も台数のぶん増えます。
現場の様子が、その時間にいた人の中にしかないからです。
昼間に気になったことは、昼間の隊員が知っています。
夜の隊員には、日報の紙が渡ります。
紙に書ける量は、気づいた量より少なくなります。
足りない分は、口で伝えます。
伝える時間は、どちらの勤務時間にも入っていません。
報告書が、現場と時間の数だけ要るからです。
一つの現場に一日ぶんの報告書が要ります。
現場が増えれば、報告書も増えます。
人を増やすのは、現場を増やすためです。
増えた現場のぶん、報告書も増えます。
一人あたりの書く量は、そのままです。
四つとも、同じ一日の同じ現場のことです。
それでも、残り方も置き場も揃っていません。
揃っていないので、書き直す作業が現場の数だけ起きます。
六つの工程ごとの一覧は、AI業務棚卸のページに置いてあります。
この記事では「そもそも、なぜその手間が生まれるのか」だけを書きました。
「AIを使って何ができるか」は、下のページに全部並んでいます。
警備の六つの工程と、できること一覧
Q1.なぜ、この手間は警備の仕事でだけ起きるのですか?
仕事の成果が、物にならないからです。
物を渡す仕事なら、渡した物が証しになります。警備は、何も起きなかった状態が成果なので、状態を書き残すしかありません。
Q2.なぜ、異常が無い日ほど手間が軽くならないのですか?
無かったことも、同じ様式で書くからです。
異常があれば、その出来事を書きます。無ければ、無かったことを時刻ごとに書きます。書く欄の数は変わりません。
Q3.なぜ、契約先が増えると事務が急に重くなるのですか?
報告の様式が、契約先ごとに違うからです。
同じ内容でも、出す先が違えば書き方が変わります。現場の数と様式の数を掛けた回数だけ、書き直しが起きます。
Q4.なぜ、経験の長い隊員でも報告に時間がかかるのですか?
書く量が、腕ではなく時間の長さで決まるからです。
八時間の勤務なら、八時間ぶんの記録が要ります。慣れによって速く書けても、埋める欄の数は減りません。
Q5.何から始めればよいですか?
まず一つの現場で、立っていた時間と書いていた時間を分けて計ることからです。
二つを並べると、警備そのものと記録のどちらに時間が要っているかが、自分の会社の数字で分かります。
警備の手間は、現場に立つ時間だけでは決まりません。
何も起きなかったことを書き残す時間で決まります。
起きなかったことは、書かなければ残りません。
だから、良い一日ほど記録が軽くなりません。
成果の形を変えられないなら、書き残し方を変えるしかありません。
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ブレインコミュニティ合同会社
現場の手作業の隙間を、AIで自動化する受託開発です。
代表は製造設計を十四年、業務改善のコンサルティング、そしてAIの実装。
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