
三回で終わる見込みが、七回になった。
広告・デザインの仕事では、これがよく起きます。
相手が気まぐれだからではありません。
何が正解かが、見てみるまで言葉にならないからです。
今回は、その言葉にならなさがどこから来ているのかを分解します。
直しの指示が、決まった言い方では届かないからです。
「もう少し明るく」と言われます。
色のことなのか、写真のことなのか、言葉の調子のことなのか。
どれを指しているかは、その言葉には入っていません。
作る側は、いくつかの読み方の中から一つを選びます。
選び方が合っていたかどうかは、次に見てもらうまで分かりません。
六つの工程に分かれます。
一つ目、企画・打ち合わせ。
二つ目、提案・契約。
三つ目、素材・情報整理。
四つ目、デザイン制作・修正。
五つ目、納品・フィードバック。
六つ目、請求・経理。
手間が生まれるのは、二つ目と四つ目です。
二つ目の提案・契約で、何回まで直すかを先に決めます。
四つ目のデザイン制作・修正で、その回数を実際に使います。
今回は、四つ目を分解します。
できあがった物を見て、はじめて相手の中の正解が形になるからです。
頼む側は、欲しい物を思い浮かべています。
思い浮かべたものを、言葉にして渡します。
言葉になった時点で、思い浮かべたものの一部は落ちています。
落ちた部分は、絵になって出てきたときに気づかれます。
気づいた分が、直しとして戻ってきます。
前の直しの理由が、直した物の中に残らないからです。
一度目は、大きくしてほしいと言われて大きくします。
二度目は、目立ちすぎると言われて戻します。
戻すと、一度目の理由がまだ生きているかは分かりません。
どちらの理由も、やりとりの中にしかありません。
残っていないので、行ったり来たりが起きます。
決まりが、案件ごとに違う場所に置いてあるからです。
文字の大きさや色の決まりは、相手の会社ごとにあります。
渡され方は、紙のこともあれば口頭のこともあります。
どこに何が書いてあったかは、案件が終わると散ります。
次の案件では、また探すところから始まります。
探している間、作る手は動いていません。
どういう理由でその形にしたかが、残っていないからです。
前の案件の絵は、残っています。
なぜその色にしたのかは、残っていません。
理由が分からないと、そのまま使ってよいか判断できません。
判断できないので、結局また作ります。
手元の量は増えているのに、使える形では貯まりません。
直しの回数を決めているのが、作る側ではないからです。
人を増やせば、一回あたりは速くなります。
何回戻ってくるかは、見る側が決めます。
見る側は、見てから気づきます。
気づく回数は、こちらの人数とは関係がありません。
だから、速くはなっても、回数は減りません。
四つとも、同じ一つの案件のことです。
それでも、残り方も置き場も揃っていません。
揃っていないので、直しの回数を始める前に読めません。
六つの工程ごとの一覧は、AI業務棚卸のページに置いてあります。
この記事では「そもそも、なぜその手間が生まれるのか」だけを書きました。
「AIを使って何ができるか」は、下のページに全部並んでいます。
広告・デザインの六つの工程と、できること一覧
Q1.なぜ、この読めなさは広告・デザインでだけ起きるのですか?
出来上がりの形を、注文の時点で決めきれないからです。
寸法や部品が決まっている仕事なら、注文の紙に全部書けます。見た目の良し悪しは、見るまで書けません。
Q2.なぜ、直しの回数を契約で決めても収まらないのですか?
回数を数える単位が、決まりきらないからです。
一度に十か所直しても一回です。一か所を三度往復しても三回です。同じ「三回」でも中身が違います。
Q3.なぜ、打ち合わせを増やしても減らないのですか?
言葉で確かめられるのは、言葉になっている部分だけだからです。
言葉になっていない部分は、絵になってはじめて表に出ます。打ち合わせの回数では、そこに届きません。
Q4.なぜ、付き合いの長い相手でも起きるのですか?
案件ごとに、決める人が入れ替わるからです。
担当者が同じでも、最後に見る人が違えば見方も変わります。前の案件の合意は、次の案件には引き継がれません。
Q5.何から始めればよいですか?
まず一件、直しが何回あったかと、その理由を並べることからです。
回数と理由を並べると、往復が言葉のあいまいさから来ているのか、決める人の入れ替わりから来ているのかが分かります。
広告・デザインの手間は、作る速さだけでは決まりません。
何回戻ってくるかで決まります。
戻ってくる回数を決めているのは、見る側です。
見る側は、できあがった物を見てから気づきます。
気づく順番を変えられないなら、直しの理由の残し方を変えるしかありません。
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