
壁を剥がしたら、下地が傷んでいた。
リフォームでは、これが珍しくありません。
見積を出した時点では、誰にも分かりませんでした。
つまり最初の見積は、はじめから「たぶん」で出しています。
今回は、その「たぶん」がどこから来ているのかを分解します。
値段を決める部分が、工事を始めるまで見えないからです。
見えているのは、部屋の中だけです。
壁の中も、床下も、配管も、閉じたままです。
それでも、金額はその見えない部分で大きく動きます。
だから、経験から見当をつけて出すことになります。
見当は人ごとに違うので、同じ現場でも金額が変わります。
六つの工程に分かれます。
一つ目、相談・計画。
二つ目、現地調査・提案。
三つ目、契約・手配。
四つ目、工事・進捗管理。
五つ目、引き渡し・アフター。
六つ目、完了後の請求と業者への支払い。
手間が生まれるのは、二つ目と四つ目です。
二つ目の現地調査・提案で、見えない部分を見当で埋めます。
四つ目の工事・進捗管理で、その見当が合っていたかが分かります。
今回は、二つ目を分解します。
見当が外れたことが、着工してから分かるからです。
調査でできるのは、外から見て触って測ることまでです。
下地の傷みも、配管の古さも、そこでは確かめられません。
だから提案は、見えている条件の上に組み立てます。
開けて違えば、その提案は前提から崩れます。
崩れれば、お客様との話も金額もやり直しになります。
気づいたことの多くが、その場の会話で流れるからです。
現場では、写真を撮りながらお客様と話します。
そこで出た希望も、心配ごとも、口で交わされます。
メモに残るのは、そのうちの一部です。
残らなかった部分は、提案書を書く段になって思い出せません。
思い出せないまま出した提案は、あとで直すことになります。
最初の見積が、確かなものとして受け取られているからです。
こちらは見当で出したつもりでも、お客様には金額として届いています。
そこから増えると、話が違うという受け取られ方になります。
説明するには、なぜ増えたかを目に見える形で示す必要があります。
しかし、開ける前の状態はもう残っていません。
残っていないので、言葉で説明することになります。
報告するための時間が、工事の中に無いからです。
職人は、手を動かしている間は書けません。
書けるのは、片付けが終わったあとです。
そのころには次の現場へ移っていることもあります。
だから、変更があったこと自体が伝わらないまま進みます。
伝わっていないので、請求の段になって食い違います。
過去の現場が、お客様の名前で並んでいるからです。
思い出したいのは、間取りと築年数と傷み方です。
その並びで入っていないので、条件では引けません。
心当たりの現場を開いて、違えばまた次を開きます。
探す時間は読めないので、一から積み上げるほうを選びます。
選び続けた結果、リフォームの見積は毎回ゼロからになります。
四つとも、同じ一軒の状態のことです。
それでも、確かめられるのは一つ目だけです。
残り三つは工事を始めてから分かるので、見積は最初から見当で出しています。
六つの工程ごとの一覧は、AI業務棚卸のページに置いてあります。
この記事では「そもそも、なぜその手間が生まれるのか」だけを書きました。
「AIを使って何ができるか」は、下のページに全部並んでいます。
リフォームの六つの工程と、できること一覧
Q1.なぜ、この見当のずれはリフォームでだけ起きるのですか?
既にある建物に、後から手を入れる仕事だからです。
新しく建てるなら、下地も配管もこれから作ります。リフォームは、誰かが何十年か前に作った物の上に足します。
Q2.なぜ、調査を丁寧にしても分からないのですか?
壊さずに中を確かめる手立てが無いからです。
叩いた音や図面から見当はつきますが、確かめられるのは開けたあとです。丁寧さでは埋まりません。
Q3.なぜ、気をつけていても防げないのですか?
開ける前の状態が、あとに残らないからです。
増えた理由を説明したくても、開ける前の中身はもうありません。だから言葉で説明することになります。
Q4.なぜ、人数が少ない会社ほど大きく出るのですか?
調査する人と、見積を作る人が同じだからです。
現場で気づいたことを書き残す時間は、次の現場に取られます。取られた分が、そのまま抜けになります。
Q5.何から始めればよいですか?
まず一件、最初の見積と最後の請求の差を出すことからです。
差が何によって生まれたかを並べれば、見当のどこが外れやすいかが自社の数字で分かります。
リフォームの見積がずれるのは、詰めが甘いからではありません。
値段を決める部分が、工事を始めるまで閉じているからです。
だから最初の見積は、はじめから見当で出しています。
開けて違えば、提案も金額もやり直しになります。
見えない部分は変えられませんが、気づいたことの残し方は変えられます。
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リフォームの六つの工程が、そのまま並んでいます。
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