
書類は揃えました。あとは出すだけです。
それでも、いつ終わるかは申し上げられません。
司法書士の仕事では、これがふつうです。
通るかどうかを決めるのが、こちらではないからです。
今回は、その読めなさがどこから来ているのかを分解します。
どこまで見れば足りるかが、案件ごとに変わるからです。
同じ相続でも、相続人の数で必要な戸籍が変わります。
前の代で名義が変わっていれば、そこまで遡ります。
遡る先は、取り寄せてみて初めて分かります。
一枚届くと、次に要る一枚が決まります。
だから、最初に全部の枚数を数えることができません。
六つの工程に分かれます。
一つ目、相談・受任準備。
二つ目、登記・申請準備。
三つ目、必要書類収集・作成。
四つ目、申請・手続き実行。
五つ目、完了報告・引き渡し。
六つ目、請求・事務処理。
手間が生まれるのは、一つ目と四つ目です。
一つ目の相談・受任準備で、何をどこまで調べるかが決まります。
四つ目の申請・手続き実行で、その調べが足りていたかが返ってきます。
今回は、四つ目を分解します。
足りない点の指摘が、出したあとに返ってくるからです。
申請の前に、こちらでも見ます。
見たうえで出します。
受け付けた側が、別の目で見ます。
足りない点があれば、直すよう指示が返ってきます。
返ってくる時期も、指摘の中身も、出す前には分かりません。
取り寄せ先が、その方の移り住んだ先ごとに分かれるからです。
生まれてから亡くなるまでの戸籍が要ることがあります。
本籍を移されていれば、その数だけ役所が分かれます。
一つ取り寄せて、前の本籍が分かります。
分かってから、次の役所へ請求します。
順番に取り寄せるので、まとめて頼めません。
足りない一枚を、また外から取り寄せるからです。
指摘の中身が、こちらで直せる書き方の話なら、その日に済みます。
足りないのが証明書なら、取り寄せます。
取り寄せ先が役所なら、日数がかかります。
ご依頼者の押印が要るものなら、ご都合も入ります。
その分だけ、完了の日が後ろへ動きます。
前に調べた結果が、その案件の記録の中にしか無いからです。
三年前に、よく似た形の相続を扱いました。
そのとき確かめた条文も、判断も、その案件の書類にあります。
似ていることは、案件の番号からは分かりません。
分からないので、また最初から確かめます。
確かめた量は増えているのに、次に使える形では貯まりません。
外から届くものの日数が、期限の中に入るからです。
こちらの作業だけなら、日数は読めます。
証明書の取り寄せは、相手の側の日数です。
ご依頼者からの書類も、ご都合の日数です。
どちらも期限の内側で起きます。
だから、こちらの作業を速くしても、余裕はあまり増えません。
四つとも、同じ一件の手続きのことです。
それでも、四つ目だけがこちらの手の外にあります。
外にあるので、完了の日を先に約束することができません。
六つの工程ごとの一覧は、AI業務棚卸のページに置いてあります。
この記事では「そもそも、なぜその手間が生まれるのか」だけを書きました。
「AIを使って何ができるか」は、下のページに全部並んでいます。
司法書士の六つの工程と、できること一覧
Q1.なぜ、この読めなさは司法書士の仕事でだけ起きるのですか?
出来上がりを認めるのが、依頼された方でも自分でもないからです。
品物なら、渡して受け取られれば終わりです。手続きは、受け付けた側が通してはじめて終わります。
Q2.なぜ、事前に問い合わせても足りないのですか?
正式に見るのは、受け付けてからだからです。
前もって伺えることはあります。それは目安であって、受け付けたあとの判断とは別のものです。
Q3.なぜ、書類の数を先に数えられないのですか?
一枚届くと、次に要る一枚が決まるからです。
どこまで遡るかは、届いた書類の中身で変わります。数えられるのは、最後の一枚が届いたあとです。
Q4.なぜ、件数を増やすと管理が難しくなるのですか?
件ごとに、待っている相手が違うからです。
役所からの返事を待つ件、ご依頼者からの押印を待つ件が混ざります。どれが止まっているかは、一件ずつ見ないと分かりません。
Q5.何から始めればよいですか?
まず十件、受任から完了までの日数のうち、待っていた日数を分けて数えることからです。
こちらの作業の日数と、待ちの日数の比が出ます。多くは、待ちのほうが長くなります。
司法書士の仕事の日数は、作業の速さだけでは決まりません。
外からの返事を待つ日数で決まります。
通すかどうかを決めるのは、こちらではありません。
だから、完了の日を先に約束することができません。
待ちを短くできないなら、待っている件の見え方を変えるしかありません。
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司法書士の六つの工程が、そのまま並んでいます。
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