
荷物の量は去年と同じなのに、事務の手間だけが増えている。
物流倉庫では、これがよく起きます。
増えたのは荷物ではなく、荷主の数かもしれません。
預かる物は一つの建物に集まるのに、決まりは荷主ごとに別のままだからです。
今回は、その別々さがどこから来ているのかを分解します。
扱っている物が、自分の会社の物ではないからです。
荷物には、預けた側の呼び名が付いています。
伝票の形も、預けた側のものです。
数え方の単位も、預けた側の決まりです。
倉庫は、その決まりのまま受け取ります。
受け取ってから、倉庫の呼び名に置き換えています。
六つの工程に分かれます。
一つ目、荷受け・入庫計画。
二つ目、在庫管理・棚卸。
三つ目、出荷指示・ピッキング。
四つ目、梱包・発送準備。
五つ目、返品・クレーム対応。
六つ目、請求・事務処理。
手間が生まれるのは、一つ目と三つ目です。
一つ目の荷受け・入庫計画で、荷主の言葉を倉庫の言葉に置き換えます。
三つ目の出荷指示・ピッキングで、その置き換えが正しかったかどうかが出ます。
今回は、一つ目を分解します。
置き換えの決まりが、荷主の数だけ別々に要るからです。
荷主が一社なら、覚える決まりは一つです。
二社なら二つ、十社なら十です。
荷物の量は建物の広さで頭打ちになります。
決まりの数は、荷主が増えた数だけそのまま増えます。
だから、量が同じでも荷主が増えれば手間は増えます。
伝票の様式を決めているのが、倉庫ではないからです。
伝票は、荷主が使っている形のまま届きます。
品名の欄の位置も、数量の書き方も、荷主ごとに違います。
どこに何が書いてあるかを、人が見て決めます。
見て決めた中身を、倉庫の台帳に入れ直します。
入れ直しの回数は、荷主の数と便の数を掛けた回数です。
荷主ごとに、同じ物に違う品番が付いているからです。
同じ製品でも、荷主Aの品番と荷主Bの品番は別です。
倉庫の側では、どちらも同じ棚に置ける物です。
置ける物でも、預かった単位で分けて数えます。
分けて数えているうちに、同じ物が二つの名前で並びます。
並んだあとで一つにまとめるのは、人が見比べるしかありません。
入ってくる量が、届いてみるまで確かではないからです。
入庫の予定は、前もって届きます。
予定と実際の数は、しばしば違います。
違えば、用意しておいた棚に入りません。
入らなければ、その場で別の棚を探します。
その場で決めた置き場は、決めた人しか知りません。
置いた場所の記録が、置いた瞬間には残らないからです。
荷物を置くのは、現場です。
台帳に入れるのは、手が空いてからです。
その間に、探す人が来ます。
台帳には前の場所が書いてあります。
書いてある場所に無い、という形で出てきます。
四つとも、同じ一つの荷物のことです。
それでも、呼び名も様式も単位も揃っていません。
揃っていないので、置き換えの回数が荷主の数だけ増えます。
六つの工程ごとの一覧は、AI業務棚卸のページに置いてあります。
この記事では「そもそも、なぜその手間が生まれるのか」だけを書きました。
「AIを使って何ができるか」は、下のページに全部並んでいます。
物流倉庫の六つの工程と、できること一覧
Q1.なぜ、この置き換えは物流倉庫でだけ起きるのですか?
預かっている物の決まりを、こちらで決められないからです。
自分の会社の品物なら、呼び名は一つに決められます。預かり物は、預けた側の呼び名のまま届きます。
Q2.なぜ、様式を統一してもらうというわけにいかないのですか?
荷主の側にも、その様式を使っている先があるからです。
荷主の品番は、荷主の販売先ともつながっています。倉庫のために変えると、そちら側が合わなくなります。
Q3.なぜ、荷物の量が同じでも手間が増えるのですか?
手間が、量ではなく荷主の数で決まる部分があるからです。
同じ百箱でも、一社から百箱と、十社から十箱ずつでは、覚える決まりの数が十倍違います。
Q4.なぜ、慣れた作業者ほど代わりがきかないのですか?
置き換えの決まりが、その人の中に貯まっているからです。
どの荷主のどの欄が何を指すかは、書いてある表ではなく経験で覚えています。休まれると、その荷主の便が止まります。
Q5.何から始めればよいですか?
まず一便、伝票を読み直すのに何分かかったかを計ることからです。
荷主ごとに計ると、手間の差が量ではなく様式の差から来ていることが自分の倉庫の数字で分かります。
物流倉庫の手間は、荷物の量だけでは決まりません。
荷主の数だけ別々の決まりを同時に守ることで決まります。
量は建物の広さで頭打ちになります。
決まりの数は、荷主が増えるだけ増えます。
荷主の様式を変えられないなら、置き換えのやり方を変えるしかありません。
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