
監修:大川行成(ブレインコミュニティ合同会社 代表/元・富士通総研 BPRコンサルタント)
業務改善とAIの側から、タクシー・ハイヤーの仕事の形を分析しています。資格が要る手続きそのものの判断や助言をするものではありません。 → この人について
この記事は当社の型に沿って機械が組み、大川行成が八十五本すべてを確認しています。
同じ時刻に、片方の街では乗れず、もう片方では空車が並んでいます。
タクシー・ハイヤーでは、これが毎日起こります。
台数が足りないからだとはかぎりません。
需要が、時刻ごとに街の中を移動しているからです。
今回は、その移動がどこから来ているのかを分解します。
次にどこで手が挙がるかが、こちらには分からないからです。
朝は、住宅街から駅へ向かう方が多くおられます。
昼は、病院や商業地に移ります。
夜は、繁華街から住宅街へ戻ります。
場所も向きも、時刻で入れ替わります。
いま居る場所が、三十分後に正しい場所とはかぎりません。
六つの工程に分かれます。
一つ目、計画・準備。
二つ目、ご予約と配車の手配。
三つ目、車両整備と緊急時の備え。
四つ目、運行と車内でのご対応。
五つ目、降車後のご意見と忘れ物対応。
六つ目、運賃の請求と売上集計。
手間が生まれるのは、四つ目と六つ目です。
四つ目の運行と車内でのご対応で、どこへ向かうかを一日じゅう決め続けます。
六つ目の運賃の請求と売上集計で、その判断の結果が数字になって出ます。
今回は、四つ目を分解します。
お客様を降ろした場所が、次のお客様がおられる場所とはかぎらないからです。
郊外までお送りしたとします。
そこで手が挙がることは、あまりありません。
街まで戻る間、費用だけがかかります。
戻る先を間違えれば、また空のまま走ります。
だから、降ろした瞬間から次の判断が始まります。
判断のもとが、その乗務員の記憶だからです。
この時刻はこの通りが出る、という覚えがあります。
覚えているのは、自分が走った範囲だけです。
走ったことのない地区のことは分かりません。
だから、経験の長さがそのまま差になります。
覚えは書き残されていないので、他の人には渡りません。
予約の時刻に間に合う場所へ、先に戻る必要があるからです。
一時間後に予約が入っています。
その時刻に、決まった場所にいなければなりません。
その前に長いお客様が乗られると、間に合いません。
だから、直前は短い距離しか受けられません。
受けられない時間が、そのまま空きになります。
ふだんの動きが、その日は入れ替わるからです。
雨の日は、ふだん歩く方が乗られます。
催しの日は、その会場だけに人が集まります。
いつもの場所で待っていると、空振りします。
気づくのは、しばらく手が挙がらないと分かってからです。
気づいたときには、そちらも埋まっています。
どれだけ乗せられたかが、走り終わって数えるまで出ないからです。
一件ごとの運賃は、その場で分かります。
走った距離のうち、何割がお客様を乗せていた時間かは分かりません。
分けて数えるのは、日報を書くときです。
書き終えてから、良い日だったかが分かります。
分かったころには、その日の判断はもう終わっています。
四つとも、同じ一台の同じ一日のことです。
それでも、動く速さも決まり方も揃っていません。
揃っていないので、判断が降ろすたびに何十回も起きます。
六つの工程ごとの一覧は、AI業務棚卸のページに置いてあります。
この記事では「そもそも、なぜその手間が生まれるのか」だけを書きました。
「AIを使って何ができるか」は、下のページに全部並んでいます。
タクシー・ハイヤーの六つの工程と、できること一覧
いま月額で払っている道具を、自社のしくみに置き換える
お客様や取引先からお預かりした情報が、どこで外へ広がるのかは、タクシー・ハイヤーで、預かった情報が外へ広がる理由で説明しています。
Q1.なぜ、この空振りはタクシー・ハイヤーでだけ起きるのですか?
売り場を、自分で動かさなければならないからです。
店なら、お客様のほうが来られます。タクシーは、お客様のおられる場所へこちらが移動します。
Q2.なぜ、台数を増やせば済むというわけにいかないのですか?
増えた台も、同じ場所へ集まってしまうからです。
出やすい場所は誰にとっても出やすい場所です。台数が増えると、そこで待つ列が長くなります。
Q3.なぜ、経験の長い方ほど売上が高いのですか?
どこへ向かうかの判断が、覚えの量で決まるからです。
走った範囲が広いほど、時刻ごとの当たりを知っています。その覚えは、書かれていないので他の人に渡りません。
Q4.なぜ、予約を増やすと空きが増えることがあるのですか?
予約の前後に、受けられない時間ができるからです。
決まった時刻に決まった場所へ行くには、その前を空けておきます。空けた分は売上になりません。
Q5.何から始めればよいですか?
まず一日、お客様を乗せていた時間と空車の時間を分けて計ることからです。
どの時刻に空車が長いかが分かります。その時刻が、判断を変える余地のある時間です。
タクシー・ハイヤーの売上は、走った距離では決まりません。
お客様を乗せていた時間の割合で決まります。
その割合を決めるのは、降ろすたびの行き先の判断です。
判断のもとは、いまは乗務員の記憶の中だけにあります。
需要の動きを止められないなら、判断のもとの持ち方を変えるしかありません。
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タクシー・ハイヤーの六つの工程が、そのまま並んでいます。
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