
監修:大川行成(ブレインコミュニティ合同会社 代表/元・富士通総研 BPRコンサルタント)
業務改善とAIの側から、税理士事務所の仕事の形を分析しています。資格が要る手続きそのものの判断や助言をするものではありません。 → この人について
この記事は当社の型に沿って機械が組み、大川行成が八十五本すべてを確認しています。
人を増やしても、繁忙期の忙しさは変わらない。
税理士事務所では、これがよく言われます。
忙しいのは、仕事の量が増えたからではありません。
待っていた仕事が、同じ日に一斉に動き出すからです。
今回は、その「一斉に動き出す」がどこから来ているのかを分解します。
資料が全部そろうまで、次の一手が始められない形になっているからです。
領収書はお客様の手元。通帳は銀行から。請求書は取引先から。
どれか一つでも欠けていると、記帳は止まります。
止まっている間、事務所の側にできることはありません。
そして、そろうときは、たいてい同じ時期にそろいます。
待ち時間が一斉に終わるので、そこから先が全部かさなります。
六つの工程に分かれます。
一つ目、相談・契約準備。
二つ目、情報収集・初期設定。
三つ目、日常業務・記帳代行。
四つ目、決算・申告業務。
五つ目、お客様報告・改善提案。
六つ目、請求・事務所管理。
山ができるのは、三つ目と四つ目です。
三つ目の日常業務・記帳代行で、待ち時間が生まれます。
四つ目の決算・申告業務で、その待ちが一斉に終わります。
今回は、三つ目を分解します。
同じお客様の同じ取引を、毎月ゼロから見分けているからです。
先月と同じ取引先、同じ内容、同じ勘定科目。
それでも、目で見て科目を当てるところから始めます。
先月の判断は、担当者の頭の中にしか残っていません。
担当が変われば、また一からです。
同じ判断を毎月やり直しているので、件数が増えれば時間もそのまま増えます。
何が足りないかを、事務所の側が数えて伝えているからです。
先月あった請求書が今月は無い。通帳の一部だけ届いていない。
その差は、事務所が並べて見ないと分かりません。
見て、数えて、電話をかけて、届くのを待ちます。
そのあいだ、記帳は一行も進みません。
つまり、待ち時間は資料が届かない分だけでなく、足りないと気づくまでの分も含まれています。
前回どう判断したかが、資料の側に残っていないからです。
判断した本人は覚えています。しかし紙には書いてありません。
だから次の月も、同じ取引を同じように見分け直します。
この作業は、正しくやっても新しい価値は生まれません。
過去の判断がそろっていれば、下書きは出てきます。
人に残るのは、出てきた下書きのうち迷う数件だけです。
資料が「いつ届いたか」で並んでいて、「何の話か」で並んでいないからです。
届いた順に保存されているので、探すには時期を思い出す必要があります。
思い出せないときは、端から開いて確かめます。
開いても違えば、次を開きます。
この時間は、お客様に説明できる仕事ではありません。
中身で引ける形になっていれば、探す作業そのものが消えます。
増えた人に、判断の前提を渡すところから始まるからです。
お客様ごとの事情は、担当の頭の中にあります。
渡すには、担当が手を止めて説明しなければなりません。
止めた分だけ、その担当の仕事は後ろへ動きます。
だから、いちばん忙しい人ほど人を頼めません。
判断の前提が形になっていれば、渡すのに担当の時間は要りません。
三つのうち一つでも欠けていると、記帳は進みません。
何が足りないかは、事務所が並べて見ないと分かりません。
そして、そろうときは、たいてい同じ時期に一斉にそろいます。
六つの工程ごとの一覧は、業種ページに置いてあります。
この記事では「なぜそうなるのか」だけを書きました。
「どの作業をAIに任せられるか」は、下のページに全部並んでいます。
税理士事務所の六つの工程と、できること一覧
いま月額で払っている道具を、自社のしくみに置き換える
お客様や取引先からお預かりした情報が、どこで外へ広がるのかは、税理士事務所で、預かった情報が外へ広がる理由で説明しています。
Q1.なぜ、この山は税理士事務所でだけ起きるのですか?
お客様の決算日が、同じ月に集まっているからです。
自分の都合では動かせません。待ちが一斉に終わるので、そこから先が全部かさなります。
Q2.なぜ、毎年同じ時期に同じ忙しさが来るのですか?
お客様の決算日が同じ月に集まっているからです。
集まっていること自体は変えられません。変えられるのは、集まる前にどこまで済ませておけるかです。
Q3.なぜ、気をつけていても防げないのですか?
待っている間は、手を速くしても何も進まないからです。
止まっているのは事務所の手ではなく、資料の側です。速さでは埋まりません。
Q4.なぜ、職員が少ない事務所ほど効くのですか?
一人が記帳も連絡も決算も抱えていると、止まる場所が一つで済まないからです。
資料待ちの数え上げのように、誰がやっても同じ結果になる作業から先に渡すと、抱えている人の手が空きます。
Q5.何から始めればよいですか?
まず一社、資料を待っていた日数を数えることからです。
待ちが何日あったかが分かれば、その待ちを短くする値打ちがあるかどうかも分かります。
税理士事務所の繁忙期は、仕事が増えて起きるのではありません。
待っていた仕事が同じ日に動き出すから起きます。
待ちが生まれるのは、そろったかどうかを人が数えているからです。
数える側は、いま日常業務・記帳代行の工程で機械に渡せます。
渡したぶん、お客様と話す時間に戻れます。
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